婚約をして家族へのあいさつを済ませれば、婚姻届に記入・提出して晴れて夫婦になれますね。
しかし婚姻届には結婚する当人が記入するだけではなく、「証人」の欄があることを忘れてはいけません。
証人を突然お願いすると失礼になるだけでなく、記入ミスにつながったり必要なものがなくて提出が遅れたりする可能性もあります。
誰にお願いするかを考え、必ず事前にお願いしておきましょう。
そこでこの記事では、婚姻届の証人について以下のようなことをまとめて紹介します。
▼この記事に書いてること
おめでたいはずの結婚式準備でもめ事が起こらないように万全に準備し、みんなに祝福されて入籍してくださいね。
婚姻届の証人とは?保証人との違いは?
婚姻届を届け出るためには、必ず証人を立てなければならないと、法律で定められています。
(婚姻の届出)
第七百三十九条
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
婚姻届は提出する当人たちの戸籍が新しく作られて身分が変動する、とても重要な書類なので、当人の意思に反して勝手に提出されると大きな問題です。
そのため本人の意思によって書かれたものであることを証明し、正確性をより高めるために、証人が必要とされています。
指定されているのは「成人」であることのみで、当人との続柄や社会的な立場・性別などは関係ありません。
よく似た言葉で「保証人」がありますが、保証人は主に借金や家賃などの契約をした人が支払いできなくなった時に代わりにその責任を負う人のことを言います。
(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
婚姻届に必要なのは「証人」であって「保証人」ではありませんので、お願いする際に言葉を誤らないように気を付けてくださいね。
証人になるリスクは?
婚姻届の証人には特にリスクは発生しません。
証人はあくまで二人の意思を証明するのであって、結婚に対して責任を問うものではないからです。
仮に結婚が破綻しても証人に対して何か責任や負担が生じることはありませんので、お願いする際にリスクに関して気遣う必要はありません。
婚姻届の証人は誰にお願いする?
民法で婚姻届の証人に対して定められているのは「成人を二人以上」ということだけなので、この条件を満たしていれば誰でも構いません。
誰にお願いするケースが多いのかを紹介しますね。
①両親
もっともよくお願いされるのは、新郎新婦の両親です。
- 一番身近でお願いしやすい
- 正式な書類なので両親にお願いするのが安心
- 結婚を認めてもらえていると実感できる
などの理由でお願いする人が多いようですが、婚姻届の提出は両親の戸籍から抜けることを意味するので、けじめとして依頼するのもいいでしょう。
また、子どもの結婚を喜びつつも寂しく感じる両親は多いものです。
当人たちだけで勝手に婚姻届を提出せず、しっかり関わってもらうことで両親の気持ちを満たし、わだかまりなく結婚を迎えられますよ。
②友達
証人は親族に限らず、友達にお願いしてもかまいません。
幼馴染のように長い付き合いの友達や、新郎新婦のキューピッドのような存在の友達に依頼するケースが多く見受けられます。
結婚後も変わらぬお付き合いをお願いしたい友達にお願いして、絆を深めてくださいね。
③兄弟や祖父母
幼いころから祖父母がすごく可愛がってくれたので、証人をお願いしたいのですが…?
祖父母や兄弟など、両親以外の家族に証人になってもらってももちろんOKです。
成人の条件を満たしていれば当人たちより年下でも構わないので、兄・姉に限らず弟・妹にもお願いできますよ。
ほかにも子どもがいる人が再婚する場合、年齢を満たしていれば息子や娘が証人になることも可能です。
結婚を一緒に祝ってもらいたい人にお願いして、喜びを分かち合ってくださいね。
婚姻届の証人の書き方
婚姻届の証人欄には、次の項目を記載します。
生年月日を含めすべての日付には和暦を使用し、正しい漢字で読みやすい字で書きましょう。
特に住所と本籍は間違えやすいので詳しく解説します。
①住所
証人の住所欄を記入するときには、次の2点に特に注意してください。
- 住民登録している住所を記入する
- 住民票に記載されている正式な住所を記入する
たとえば実家を離れて一人暮らしをしているけれど、住民票は実家に置いたままという場合には、実家の住所を書いてもらいましょう。
正式な住所を求められるので、ハイフン(-)ではなく「丁目」「番地」などを使い、マンション名を省略せずに書くことも忘れてはいけません。
(〇) 東京都〇〇区△△ □丁目□番地□号 〇〇〇マンション △号室
(×) 東京都〇〇区△△ □-□-□ △号室
うっかり使い慣れている略した住所を書いてしまうと、書き直す羽目になってしまうのでよく確認しましょう。
②本籍
本籍も書き方のルールは住所と同じで、略さず正式な住所を記載します。
ただし本籍の記入時にはもうひとつ、「同じ」や「同上」を使わないことにも注意が必要です。
たとえ住民登録している住所と本籍地が同じであっても、略さずに二度書いてください。
日本で暮らしている外国籍の友人に証人になってもらいたいのですが、本籍はどのように書けばいいですか?
証人が外国籍の場合、本籍は国名を書けばいいですよ!住所欄には住民登録している住所を書きます。名前は現地の文字でフルネームを書き、カタカナでフリガナも添えてください。
また本籍は住民票に記載されていますので、正式な表記に不安がある場合やわからない場合、あらかじめ住民票を取り寄せて確認しておきましょう。
証人は印鑑は必要?
以前は証人にも印鑑が必要でしたが、デジタル改革関連法の成立により行政手続きおける書類への押印が廃止され、婚姻届への印鑑も必要なくなりました。
ただ、日本には「大切な書類には印鑑が必要」という文化が根付いていることもあり、希望者は押印してもいいとされています。
新郎新婦当人も証人も、押印にこだわりがある場合は押してもかまいませんよ。
現在は廃止されていますが、従来の押印に対する注意点を表にまとめます。
注意点 | 内容 |
---|---|
ハンコの種類 | ・シャチハタやゴム印はNG ・実印でなくてもOK(認印など) |
証人二人の姓が同じ | 別のハンコを用意してもらう |
外国人でハンコがない | ・ハンコは必要ない ・サインも原則必要ないが、 提出する役所に確認するといい |
捨て印 | ・捨て印欄がある場合は押印する ・捨て印欄がなくても枠外に押してもらうと安心 |
証人を夫婦にお願いする場合、押印するなら同じ姓の別のハンコを用意してもらわなければなりません。
押印の義務がないので捨て印も原則必要ありませんが、これまで通りに書類を作成したい場合は枠外に押しましょう。
婚姻届の証人の頼み方マナー
誰に証人をお願いするのかを決めたらその旨を伝えますが、お願いの仕方が悪いと気持ちよく受けていただけなかったり、記入時に困ることがあるかもしれません。
どのようにお願いするべきなのか、マナーを説明しますね。
①事前に伝えておく
結婚の証人になってもらいたいということは、必ず事前に伝えておきましょう。
突然婚姻届を持って押しかけるようなことは絶対にいけません。
相手に失礼になるのはもちろんのこと、証人に準備してもらうことがあるので、急にお願いするとすぐに書けない場合があるからです。
結婚すること、証人をお願いしたい旨をあらかじめ伝え、承諾をいただけたら正式な住所や本籍が必要なことを伝えておくとスムーズですね。
お願いができたら、記入してもらう日のアポイントメントをとりましょう。
②菓子折りなど持参する
いざ婚姻届へ記入してもらう際には、新郎新婦揃って証人の元へ出向きましょう。
その際改めてきちんとお礼を伝え、お礼をお渡しすることをおすすめします。
いくらリスクを伴わないとはいえ法的な書類にサインをいただくのですから、こちらも誠意ある対応をしましょう。
お礼といっても…どんなものを用意すればいいのでしょうか?
お礼といっても、現金やあまりに高額なプレゼントでは相手に恐縮されてしまいます。3,000~5,000円程度の菓子折りやお相手の好きなもの、新郎新婦の地元の特産品などがふさわしいですよ。
素敵な贈り物は話題作りにもなるので、喜ばれそうなものを探してくださいね。
③婚姻届を提出したら報告&お礼する
証人のサインをいただいた後、無事に婚姻届を提出したら報告の連絡を入れてください。
「結局どうなったのかな?」と思われないように、お礼を伝えてお互いに気持ちよく終えましょう。
署名をいただいてから婚姻届の提出まで日数がある場合は、あらかじめいつ入籍予定かを伝えておくといいですね。
婚姻届の証人の注意点
婚姻届の証人欄への記入は、書き方以外にも注意点があります。
守らなければ受理されなかったり証人に迷惑をかけたりする恐れがあるので、しっかり確認してください。
①証人本人以外の代筆はNG
証人をお願いする人が遠方であったりスケジュールが合わない場合、住所や本籍を聞いて代筆したいと考えるかもしれませんが、それはできません。
婚姻届への記入事項は、当人も証人も、すべて本人の自筆が必要です。
どうしても直接会えない場合は郵送でやり取りをしましょう。婚姻届原紙と書き方の見本にお願いの手紙を添え、返送用の封筒も忘れず同封してくださいね!
②結婚する2人の記入を済ませておく
次の2つの理由から、新郎新婦の記入を終えてから証人に署名をいただくべきです。
- 当人の意思の証明のためには、証人は最後に記入するべき
- 書き直しが必要になったとき、証人に何度も記入いただくのは失礼
結婚が当人たちの意思によるものだと証明するための証人なのに、白紙の婚姻届にサインするのではその役割が十分に果たされません。
また、最初に証人が書き、そのあとに新郎新婦が記入ミスをして書き直す羽目になったら、もう一度署名をお願いすることになります。
そのような事態を避けるため、当人たちの記入欄は完璧に仕上げてから証人の元に出向きましょう。
婚姻届の証人がいない場合はどうする?
他界していて両親がいない、お願いできるような親しい友人がいないなど、お願いする相手を思いつかない場合でも、婚姻届には証人が必要です。
家族や友人にお願いできない場合の手段を紹介します。
①会社の人にお願いする
証人を会社の上司や先輩、同僚にお願いしてもかまいません。
特に職場恋愛で結婚するカップルの場合、直属の上司や二人ともに関わりのある先輩は証人にふさわしいともいえます。
もちろん職場恋愛でない人でも大丈夫なので安心してください。
結婚報告の際に証人をお願いしたい旨も伝えられるとスムーズですね。
②証人代行サービスを利用する
上司にも依頼できない、どうしていいかわからない…とお困りであれば、「証人代行サービス」の利用も検討してはいかがでしょうか。
証人代行サービスはインターネットで検索するとたくさんヒットし、依頼方法も料金もさまざまです。
でもなんだか、情報漏洩が心配です。大丈夫でしょうか?
情報漏洩が不安な場合は、行政書士が提供するサービスを探すといいかもしれません。守秘義務があり記入ミスもありませんので、安心して依頼できますよ。
まとめ
婚姻届の証人欄の記入にはルールがあり、お願いに際しては注意すべきマナーがたくさんあるとわかりました。
- 証人は成人であれば続柄や性別は関係ない
- 法的に定められているが特にリスクはない
- 証人欄には名前・生年月日・住民票の住所・本籍が必要
- 証人をお願いすることは前もって伝えておく
- お礼や報告など礼儀を尽くす
新郎新婦の気持ちを証明して立ち会ってもらう証人は、一緒に結婚を喜びたい人にお願いするのがベストです。
両親でも友達でも、感謝と「これからもよろしくお願いします」という気持ちで依頼しましょう。
また、こちらの記事では迷いがちな婚姻届の職業欄の書き方について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてくださいね。
周りの皆に祝福されて、幸せいっぱいの入籍を迎えてください。
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