四国地方に位置する88ヶ所の寺院を巡るお遍路は、全国各地から多くの方が故人の供養や自分探しなどの目的をもって巡られています。
近年では、若い世代で行かれる方も増えているため、お遍路の初心者の方にとっては「取り憑かれる?」「女性は危険?」といった声に不安を感じているでしょう。
この記事では、お遍路でやってはいけないことや、お遍路で取り憑かれると言われている理由についてもご紹介します。
▼この記事でわかること
お遍路巡りの際にかかる費用や、ルートについてもご紹介しているので、お遍路に初めて行く方はぜひ参考にしてみてくださいね。
お遍路で取り憑かれる?やってはいけないこと10選
お遍路では、四国地方にある88ヶ所の仏教寺院をめぐります。
現在では、老若男女問わず全国各地から多くの人々が訪れていますが、ネット上ではお遍路に行くと取り憑かれるという噂もあるようです。
実際に調べてみたところ、北海道で放送されているバラエティ番組「水曜どうでしょう」での出来事により、噂されるようになったのかもしれません。
「水曜どうでしょう」のロケでお遍路に行ったところ、俳優さんが体調を崩したり、カメラに異常がおきたりとさまざまな怪奇現象に見舞われたようです。
1,200年以上の歴史があるお遍路は、多くの人々が強い思いを抱えて来られるため、場所によっては心霊スポットになっている可能性もあります。
防犯の意味でも夜間の移動は避けておくほうが安全です。
また、お遍路にはやってはいけないこともあります。以下のルールを守って、寺院を巡っていきましょう。
- 宿では最初に金剛杖を清める
- 合掌時に手を叩かない
- お寺から出る際に鐘を突かない
- トイレに金剛杖や笠は持ち込まない
- 手水場では柄杓と柄を清める
- お賽銭はなげない
- 参拝時には帽子を脱ぐ
- 橋で杖をつかない
- ろうそくや線香を手前から置かない
- お接待は断らない
初めてのお遍路の場合、ルールが分からず戸惑ってしまう場合もありますが、最低限のルールは事前に知っておくようにしましょう。
お遍路で菅笠以外の帽子はダメ?
お遍路の正装では、スゲの葉で編まれた菅笠を頭に被りますが、帽子に決まりはありません。
菅笠以外の帽子を被ってはいけないルールはないため、お手持ちのキャップを被ってまわっても問題ないでしょう。
ただし、山門・参拝時・納経所では菅笠以外の帽子を脱いでおくのがマナーです。
杖の上部を握る&突くのは大丈夫?
お遍路では、金剛杖と呼ばれる杖を持って歩きますが、杖は弘法大師様の化身とも言われており上部は、故人の供養で用いられる卒塔婆(そとば)となっています。
そのため、金剛杖はカバーのかかる上部は握らずに、カバーの下を握ると良いでしょう。
また、お遍路では橋を渡る際に金剛杖を突いてはいけないルールもあります。
これは、橋の下で弘法大師様が野宿していたという言い伝えがあったことから、眠っている弘法大師様を杖の音で起こさないように「橋で杖をついてはいけない」とルールができたそうです。
ろうそくや線香は手前に置くのはNG?
本堂をお参りする際は、ろうそく1本または線香3本をたてますが手前に置くのはNGです。
手前から置いてしまうと、後で参拝される方が奥に置く際に腕を火傷してしまう恐れがあります。
後で参拝される方への配慮として必ず、ろうそくや線香は奥から置いていくようにしましょう。
また、ろうそくや線香に火をつける際に、他の人がつけた火をもらう「もらい火」もNGです。
もらい火をすると、他人の悪い気をもらってしまう行為になるため、寺院に置いてあるマッチやライターで火をつけましょう。
お遍路のお接待を断るのは?
お遍路をしていると、地元住民の方から声をかけられ、お茶やお菓子をもらえる「お接待」を受ける場合がありますが断らないのが礼儀です。
地元住民の方は、お遍路が過酷であることを知っているため、応援したいという気持ちからお接待をしています。
また、お遍路には、1人で歩いていても常に弘法大師様と一緒とされる「同行二人」の考えがあります。
お接待は弘法大師様へのお供えという意味も込められているので、地元住民からのお接待は断らず、お礼を述べて受け取るようにしましょう。
お遍路は女性1人だと危険でやばい?
お遍路をしている方は、50代以降の男性が多く、60代や70代と年配の方も多い傾向にあります。
そのため、女性1人のお遍路は痴漢やナンパなど性被害にあう恐れもあり危険です。
お遍路中は、近くにホテルがない場所もあります。
無料で使える宿泊小屋の「善根宿」や「通夜堂」もありますが、鍵がかけられない場所もあり、不審者が侵入してくる危険性もあるでしょう。
もしも、女性1人でお遍路に行かれる場合は以下のことを心がけてください。
- 防犯ブザーを肌身離さずに持ち歩く(就寝時も枕元に置く)
- できるだけ単独行動はしない
- 個人情報を教えない
- 野宿をしない(テントの場合も民家の近くにする)
- 鍵付きの宿泊先であるか確認する
お遍路は大手旅行会社が主催するツアーもあります。女性1人で行かれる方は、ツアーへの参加も検討してみましょう。
お遍路の巡り方!ルートはどうする?
四国地方の88ヶ所の寺社を巡るお遍路には、5種類の巡り方があります。
- 順打ち(1番札所から順番に巡る)
- 逆打ち(88番札所から逆回りで巡る)
- 通し打ち(札所を1度に全て巡る)
- 区切り打ち(何日かに分けて巡る)
- 一国回り(四国各県を区切って巡る)
お遍路には、まとまった時間も必要になります。自分にあった巡り方を選びましょう。
順番にルールはある?逆打ちの呪いとは?
お遍路には、巡る順番にルールはありません。
どこから始めても良いとされていますが、一般的には弘法大師様が巡られた1番札所から順番に巡る「順打ち」ルートで行かれる方が多いでしょう。
また、88番札所から巡る「逆打ち」ルートもありますが、逆打ちには呪いがあるという噂もあります。
お遍路では白装束を着て巡るため、逆から巡ると死者が生き返ると言われていたことから、逆打ちには呪いがあると噂されるようになったようです。
現在は、逆打ちで巡ると順打ちで巡られた弘法大師様とすぐに会えてしまうことから、逆打ちは良くないとも言われています。
逆打ちは順打ちよりも険しい道が続くため、一度に多くの利益を得ようと逆打ちを選ぶ方もいるようですよ。
お遍路は自転車やバイクでも行ける?
お遍路は自転車やバイクでも行けます。
歩きお遍路とは異なり一般道で行く必要があるため、総距離は約1,400kmとなるでしょう。
自転車やバイクを使えば、歩きお遍路よりも日数が短く済み、費用も抑えられます。
車が危険なお遍路の難所がある?
お遍路で巡る寺院のなかには、山間部で急傾斜がある道を通る場面もあるため、お遍路に車で行く場合は危険が伴う難所もあります。
車が危険と言われる主な難所は以下のとおりです。
- 12番 焼山寺
- 21番 太龍寺
- 27番 神峰寺
- 28番 大日時
- 35番 清瀧寺
- 60番 横峰寺
- 66番 雲辺寺
道幅が非常に狭い山道が多いため、運転に自信のない方は上記の寺院へ車で行くのは避けておくほうがいいでしょう。
お遍路回りの日数は何日くらい?
お遍路にかかる日数は、1日あたりの移動距離によって異なります。
- 歩き遍路:約30日〜60日
- 自転車:約20日〜30日
- 車・バイク:約10日
例えば、歩き遍路の場合であれば総距離が約1,200kmとなるため、1日あたり20km歩くペースでいくと約60日かかるでしょう。
お遍路初心者のよくある【Q&A】
初めてのお遍路は分からないことも多く、戸惑ってしまう場合もあるでしょう。
ここでは、お遍路初心者の方から寄せられる質問をご紹介します。
分からないまま行って後悔しないよう、お遍路に出発する前に気になることは調べておきましょう。
お遍路の読み方は?
お遍路の読み方は「おへんろ」です。
遍く路(あまねくみち)と書いて、老若男女問わず全ての人へ平等に与えられた路がお遍路であることをさしています。
お遍路という言葉には、誰でも自分の心のままに仏様に対してお参りができるといった意味も込められているのでしょう。
お遍路の目的は?どんな効果がある?
お遍路をする目的は、88ヶ所の寺院を巡りながら、自分を苦しめている煩悩を清め自分自身を見つめなおすことです。
近年では、自分探しの旅や癒しを目的にお遍路に行く方も増えています。
お遍路の効果は人それぞれですが、過酷な旅を経験することで、人々の温かさに触れて人生の活路を見出せる方もいるでしょう。
お遍路さんの服装は自由なの?
お遍路をする際の服装・格好は自由です。
88ヶ所の寺院を巡るため、動きやすい服装に歩きやすい靴であれば問題ありませんが、お遍路の正装でもある基本の3点は身につけておくと気も引き締まるでしょう。
- 白衣
- 輪袈裟(わげさ)
- 金剛杖
屋外での移動が続くので、直射日光から頭を守るためにも帽子は被っておきましょう。菅笠以外の帽子はルール上、脱ぐ場面も多くなるため菅笠を被るのがおすすめです。
お遍路は貧乏でも費用抑えられる?
お遍路にかかる費用は1日あたり10,000円と言われており、日数が長引くほど費用が上がっていくため、費用を抑えるには日数を短くすることが重要です。
お遍路をする際に必要となる費用は以下のとおりです。
内容 | 費用 |
---|---|
納経代 | 約200円〜1,000円(1寺) |
お賽銭 | 約5円〜10円(1寺) |
宿泊代 | 約7,000円前後(1日) |
金剛杖 | 約3,000円前後(1本) |
白衣 | 約3,000円〜4,000円前後(1着) |
菅笠 | 約3,000円〜(1つ) |
輪袈裟(わげさ) | 約1,500円〜(1つ) |
上記のほかに四国までの交通費や食費もかかります。
歩きお遍路の場合は、約30日から60日前後の日数がかかり、費用も約30万円から60万円と高額になるでしょう。
公共交通機関やレンタカーを併用すると、日数が短くなるので、お金に余裕のない貧乏でも費用を抑えられるでしょう。
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