煮物やサラダ、おでんなど、年中大活躍の『大根』ですが、大根の葉も食べられることは知っていますか?
実は大根の葉はいつも食べている根よりも栄養が豊富なんです。
しかし、「大根の葉は危険」「毒がある」という噂を耳にした方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、大根の葉の危険性や食べるときの注意点について紹介していきます。
▼この記事に書いてあること
保存方法についても解説していますので、ぜひ参考になさってください。
大根の葉は危険&毒が入っているって本当?
大根の葉は危険&毒が入っているという噂についてですが…結論としては、毒は入っていません。
では、なぜ危険だと言われているのかについて、以下の2点が関係しています。
『シュウ酸』や『農薬』と聞くと、なんだか体に悪そうですよね。
体にどのような影響があるのか、本当に安全なのかについてくわしく解説していきます。
シュウ酸が含まれている
シュウ酸とは、『灰汁(アク)』に含まれる成分のことです。
シュウ酸は、カルシウムや鉄分の吸収を阻害する働きがあります。
普段シュウ酸は、カルシウムと結合して便として排泄されるのですが、体内のカルシウムが不足すると、外に排泄されずに、血液や尿へ吸収されます。
尿へ移動したシュウ酸は、尿中のカルシウムと結合するため、『尿管結石』といった病気にかかるリスクが高くなります。
シュウ酸を摂りすぎないこと、カルシウムを積極的に摂ることが重要です。
シュウ酸の多い食べ物について、以下の表にまとめました。
成分量(100gあたり/g) | |
---|---|
ほうれん草 | 0.7 |
ピュアココア | 0.7 |
チアシード | 0.7 |
里芋(生)・さつまいも(生) | 0.1 |
オクラ(生) | 0.1 |
参考文献:食品成分ランキング|食品成分データベース|文部科学省
肝心の大根の葉についてですが、実はほうれん草のシュウ酸と比べると、約1/17程度しか含まれていません。
決して多いほうではありませんが、大量に摂取するとリスクが増えるので、しっかりとあく抜きすることをおすすめします。
残留農薬の危険あり
残留農薬について、JCPA農薬工業会は、以下のような説明をしています。
たとえ野菜や果物に農薬が残っていても、もともと健康に影響を及ぼすような量ではないので、そのまま食べても問題はありません。普通は水で汚れを落として皮をむいたり、また、熱を加えて調理をしたりするのでさらに減少します。神経質にならず、普段どおり洗って料理していただければ健康を害することはありません。引用元:JCPA農薬工業会ー残留農薬や食品における安全基準などについて
「洗う」「皮をむく」「茹でる」「炒める」といった料理をする過程で、ほとんどの残留農薬を除去することができるようです。
また、残っていたとしても健康被害を及ぼすほどでは無いということでした。
大根の葉の残留農薬が気になる場合は、しっかりと洗う・茹でるといった方法をとると安心ですね。
大根の葉を食べるときの注意点
では実際に大根の葉を食べるときは、どのような点に注意したら良いのでしょうか。
大根の葉を食べるときの注意点は以下の3点です。
理由も含めて、くわしく解説していきます。
①あく抜きする
前述しましたが、あく抜きをすることでシュウ酸や残留農薬を摂取するリスクを減らすことができます。
また、あくは苦みのもとにもなっているので、おいしく食べるためにも行っておいて損はありませんよ。
②食べ過ぎない
大根の葉には、根っこの部分よりも多くの栄養素が含まれています。
その中でも、ナトリウムは、大根の根の2倍近くの量が入っています。
よほどの量を摂取しない限りは、『過剰摂取』とはならないため、大きな心配はありませんが、不安な方は、1度に食べ過ぎないように注意したほうが良いでしょう。
▼1日あたりのナトリウム目標量と大根のナトリウム含有量
ナトリウム目標量(1日あたり) | 男性:7.5g未満 女性:6.5g未満 |
---|---|
大根の葉のナトリウム含有量 | 48㎎(100gあたり) |
大根の根のナトリウム含有量 | 17㎎(100gあたり) |
参考文献:ナトリウム|e-ヘルスネット(厚生労働省)
野菜類/(だいこん類)/だいこん/根/皮なし/生 01.一般成分表-無機質-ビタミン類
野菜類/(だいこん類)/だいこん/葉/生 01.一般成分表-無機質-ビタミン類
③生食NG
大根の葉っぱの部分は、想像してもわかるとおり、育てている過程で農薬を直接受ける可能性が高く、付着しやすい部分です。
そのため、残留農薬がついている可能性も上がります。
しかし、前述したとおり、消費者に渡る段階で、健康に害を及ぼす量の農薬は残っていないので安心を。
気になる方は、しっかりと洗う・茹でるといった作業をすると良いですね。
茹でると、あく抜きにもなり、苦みのもとである「シュウ酸」を減らすことが可能です。
大根の葉の栄養成分
大根の葉を普段使わずに捨ててしまう方もいるかもしれませんが、実は根よりも葉のほうが多く含まれている栄養成分があります。
その中でも特に多い栄養成分5つを以下の表にまとめました。
▼大根の葉の栄養成分
栄養成分 | 効果・作用 |
---|---|
ビタミンA |
|
ビタミンC |
|
ビタミンK |
|
カルシウム |
|
カリウム |
|
この中でも特に『ビタミンA』は、大根の葉100g中に3900μgも入っています。
これは、緑黄色野菜の中でも、飛びぬけて栄養素を含んでいるほうれん草に並ぶくらい多いです。
ほかにも、『ビタミンC』『カルシウム』はほうれん草よりも多く、『ビタミンK』は同等量含んでいます。
食べずに捨てるのはもったいないくらい、栄養豊富なんですね。
大根の葉はどこまで食べられる?|正しい食べ方
大根の葉ですが、基本的にすべて食べることができます。
ただ、根っこに近い部分の茎は、筋が太く、人によっては硬すぎると感じるかもしれませんので、お好みで切り取る部位を選択してください。
では、葉っぱ付きの大根を買ってきた後の下処理方法について紹介していきます。
▼大根の葉の下処理方法
②根から切り離し、よく洗う
③塩小さじ1を入れたお湯(1.5L)で、大根の葉をゆでる
④3~5分ほどゆでる
⑤冷水に3分ほどつける
大根に含まれるビタミンCという栄養素は、水につけると流れ出てしまうため、長くても3分浸ける程度に留めると良いです。
大根の葉の保存方法
大根の葉は、ふりかけやおひたしなど、ご飯のお供としても大活躍する食材です。
大根の葉は冷蔵することで、1週間ほど保存することができます。
冷蔵保存する場合は、あく抜きをした後、粗熱がとれたら密閉容器に保存すれば完了です。
冷凍できる?
冷蔵保存の方法について紹介しましたが、大根の葉は冷凍保存することで、さらに長く保存することができます。
冷凍する場合も、下処理後に粗熱を取るまでは同じです。
その後、使う分ずつラップに小分けにし、ジップロックなどのチャック付きの保存容器に、なるべく空気を抜いた状態で保存します。
冷凍の場合は、約1か月保存することが可能です。
まとめ
今回は、大根の葉の注意点や危険性について解説していきました。
大根の葉は、普段食べている根っこの部分よりも栄養が高く、ふりかけやおひたしといった応用の効く食材にぴったりです。
正しい下処理や保存をすることで、長くおいしく食べることができるため、常備しておいて損はありません。
ぜひ今回の記事を参考に、大根の葉を有効活用してみてください。
コメント