春の訪れを感じさせてくれる食材のひとつである「ふき」
私たちが普段何気なく口にしているふきですが、実は毒性を持った食材だということはあまり知られていないかもしれません。
この記事では、ふきを安心して食べる方法や、ふきの持つ栄養素などを解説しています。
▼この記事で書いていること
ふきは食べてはいけない?体に悪いって本当?
昔から春の食材として親しまれてきたふきですが、生で大量に食べることは健康に害を及ぼす恐れがあり危険です。
とは言え生のふきは苦味やエグみが強く、基本的に生食はできません。
私たちが普段口にしているふき料理は、あく抜きをして苦みやエグみを抜いたものです。
しっかりとあく抜きをすることにより、安心して食べられるようになるのです。
ふきの葉には毒がある?
一般的にふきとして食用になる部分は、茎のように見えますが実は葉の一部なんです。
花の部分はふきのとうとして、こちらも春に獲れる山菜として人気があります。
ふきの葉には、ピロリジジンアルカロイド類という肝毒性のある天然毒が含まれています。
ふきを生で大量に食べることが危険な理由は、この天然毒が存在するためです。
この天然毒は、加熱では壊れにくいのですが、水に溶けだすという性質があります。
ふきはあく抜きしないといけない?
ふきはエグみや苦みが強いため、あく抜きをしないと美味しく食べることができません。
また、ふきに含まれている天然毒は水に溶ける特徴があるため、あく抜きをすれば安心して食べられるようになります。
【ふきのあく抜き方法】
- 鍋に入る大きさにカットします。
- ふき一束に対して、大さじ山盛り1杯ほどの塩をまぶして板ずりをします。
- たっぷりの熱湯で、塩が付いたままのふきを茹でます。(細い先端の部分は3分程・根元の太い部分は5分程が目安)
- 茹で上がったふきをざるに移し、流水で冷やします。
- 皮と筋を取り除きます。
- 水を替えながら、室温で水にさらします。
- 茹でる時間はアクの強さやお好みの固さで調整してください。
- 水にさらす時間が長いほど、ふきに含まれる天然毒が溶け出して減少します。天然毒が心配な人は、水にさらす時間を長めにしてください。
- 茹で汁や水さらしに使用した水は、他の料理等に使用せず捨ててください。
ふきを食べ過ぎるとどうなる?
ふきを食べ過ぎた時に心配なのが、天然毒による健康被害です。
海外では、食品を通してピロリジジンアルカロイド類を数日間続けて大量摂取した
ことによる健康被害も報告されていることから、ピロリジジンアルカロイド類には短
期毒性があると考えられる。しかし、現時点では、国内外のリスク評価機関において、
ピロリジジンアルカロイド類についての急性参照量等は設定されていない。
引用元:農林水産省-フキ中のピロリジジンアルカロイド類の含有実態調査結果
海外ではふきに含まれている天然毒ピロリジジンアルカロイド類による健康被害が報告されていますが、日本では、これまでにふきを食べ過ぎたことによる天然毒が原因と疑われる健康被害の報告はありません。
しっかりとあく抜きをしたふきを普通に食べていれば、健康に被害を及ぼすことはまずないと考えてよいでしょう。
但し胃腸の弱い人がふきを食べ過ぎると、ふきに含まれているカリウムや食物繊維の影響で胃痛や下痢を引き起こす場合がありますので注意してください。
ふきの効果|量や頻度はどれくらい?
ふきには、様々な栄養素が少しずつバランスよく含まれています。
【ふきに含まれている主な栄養素とその効果】
栄養素の名称 | 効果 | 可食部100gあたりの含有量 |
---|---|---|
カリウム | 体内で摂り過ぎた余分な水分を排出し、 むくみ解消に効果的 |
330mg |
カルシウム | 骨を強くする | 40mg |
不溶性食物繊維 | 水と一緒に摂ることにより 腸のぜん動運動を促し、便通を促進する |
1.2g |
β-カロテン | 強力な抗酸化作用を持ち、 免疫機能を正常に保つ |
49μg |
葉酸 | 動脈硬化の予防・心疾患リスクの低下。 また、胎児の正常な発育にとっても重要な栄養素 |
12μg |
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より作成
ふきには特にカリウムと食物繊維の割合が多く含まれています。
また、ふきにはクロロゲン酸やフキノール酸というポリフェノールが含まれています。
- クロロゲン酸とフキノール酸はふきの苦味やエグみの元となっているものですが、強い抗酸化作用を持ち、生活習慣病や老化を防ぐ働きがあります。
- フキノール酸には抗アレルギー作用があるので、花粉症の症状を軽減してくれる効能が期待できます。
- フキノール酸は古くから痰切りや咳止めにも使われています。
さらにふき100グラムあたりのカロリーはわずか11kcalで、脂質は0となっておりとてもヘルシーな食品です。
このようにふきは、低カロリーでありながら様々な栄養素を含んでいる健康的な食品と言えます。
ふきは天然毒を含んでいるため食べすぎに注意したいところですが、どのくらいの量を食べると健康被害が出るのかは、残念ながらまだ日本では調査がされていません。
農林水産省によれば、多量に食べ続けることがない限りは健康に被害は及ばないとされています。
旬の時期に食卓に少々取り入れるといった通常の摂取のしかたであれば、健康には問題ないと言えるでしょう。
ふきの賞味期限!いつまで食べられる?
生のふきは、鮮度が命です。
生のふきは3日ほど日持ちしますが、収穫から時間が立つほどアクが強くなっていくので、入手後はできるだけ早く茹でてあく抜きをするのが基本です。
ふきは日持ちする?
生のふきの賞味期限は3日程度と短いですが、加工のしかたによっては日持ちする保存方法もあります。
【ふきの加工方法別賞味期限】
調理法 | 賞味期限 | 保存方法 |
---|---|---|
生 | 3日程度 | 適当な長さに切り、茎と葉を別々にラップで包み 冷蔵庫の野菜室で保管します。 |
茹でたもの | 4〜5日程度 | 水を張ったタッパーに入れて、冷蔵庫で保管します。 タッパーに張った水は毎日交換してください。 |
茹でたもの(冷凍保存) | 1ヶ月程度 | 下処理をしたふきの水気を拭き取り、 フリーザーバッグに入れて冷凍保存します。 |
塩漬け | 1年程度 | 冷暗所で保存します。 |
水煮(未開封) | 半年〜1年程度 | 冷暗所で保存します。 開封後は4〜5日程度で食べきりましょう。 |
また、たとえ賞味期限内のものでも、腐ってしまったら食べることはできません。
- 異臭を放っている
- ぬめりが出てきている
- カビが生えている
上記のような状態になってしまったら、速やかに廃棄することが必要です。
ふきを腐らせないようにするためにも、保存方法をしっかりと守り、開封後は早めに食べきるようにしてください。
まとめ
天然毒を持っているふきですが、しっかりとあく抜き処理を施していれば安心して食べることができます。
旬の時期にはぜひ食卓に取り入れて、春の訪れを味覚から楽しんでみてはいかがでしょうか。
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